不定期俺日記ver.2

何というか適当に。



『昨今どうよ』

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  • 2007年04月16日LoV後編

  • 三回目、ラスト
    -----------------------
    11:
    語り手は言う。そのとき、彼は彼女の笑い声を間近で聞いたのだ、と。
    「戦闘は、いつもの調子で行われた」
    若者は、戦闘の中で問いかけた。
    「貴様の名前は!?」
    「無いさ」
    はは、と彼女はいつもの笑いを空に放つ。
    「かつて、この世界が生まれるより以前に、神と巨人の住む世界があったという」
    「では貴様は、その世界の生き残りなのか!?」
    「違う」
    は、という笑いの声が、天上に向く。
    「時間、というものを考えたことはあるか?」
    「時間?」
    「全てを移りゆかせ、越えさせて超えさせて、過去を消して進化させていくものさ」
    そんなものは──、
    「無い。我々の全ては日々の繰り返しだからだ。それは常に同じものの繰り返しであり、数で数えたところで最終的には全て同じ、一つしかないものだ。先祖の記憶は常に残っているし、我々はその中に等しくなるために生きている」
    「はは、いい答えだ。では問おう。──ならばこの世界は、何なのだと思う? 時間というものが変化を促すものであるというのに、それを拒否する、いわゆる時間経過がないこの平和な世界は何なのだ一体?」
    「何なのだとは──」
     はは、と彼女は笑った。
    「かつての世界が滅びるとき、神々は、自分達を滅ぼした怨念を封印したのさ。それも”時間の中”にね。故に今、時間は動いているが”封印されてもいる”」
     解るかい?
    「本来ならば、神々の作った時間すら砕かれて、次の世界の新しい時間に繋がるはずだった。その用意もあった。あの神々の世界には天上と地下の中間地点に地上があり、そこには人々がいて、彼らは滅びを生き残ったのだから。だから一度砕かれた全ては作り直され、人類たる彼らに受け継がれる筈だった」
     そして砕かれることで散り、それゆえに空間と同化出来た世界樹は、もはや世界の堆肥となり、そこに落ちた世界の欠片が種子となって新しい世界が生まれる筈だった。
    「だが、時間は動きつつも、封印停止させられた。──滅びを認めぬ神々の手によって」
    ならば、と彼は問うた。
    「ならばこの世界は……?」
    「この世界は、消えていった古い世界と、新しき次の世界の間に生まれてしまった、有りうべからざる世界だよ。時間がありながらも無いがゆえに、発生はしたが生まれてない世界。時間の変化を否定し、繰り返すものだけで構築された中間世界。はは、驚愕すべき世界だ。MARVEL-LANDとでも名付けるか」
    だから、と彼女は笑い、魔物を打ちながら言う。
    「世界各地にある像は何だか解るか? 時間停止して像化した、新しい世界の住人の”器”だ。そしてお前ら、自分が何であるか解っているか?」
    「まさか──」
    そう、と彼女は言った。
    「器に入ることが出来ず、彷徨い、ただ繰り返すだけになってしまっている新しい世界の住人の”魂”。それがお前らだ」
    「だったら、だったら貴様は何だ?! この、魔物の活性化も、一体何だ!?」
    「私に名前はない」
    彼女はとどめの一撃を魔物に入れていく。
    「魔物は、天にある時間の封印扉から漏れる怨念の邪気が生むものだ。そして怨念は、魔物という形の具現をもって、一つのものを置いていく。──それが、時間の封印扉を開ける鍵だよ、お前が持っているのと同じ、な」
    封印扉は天上にあり、無限個数の扉によってランダム空間構成されているのだという。
    怨念はしかしその扉を順次開けつつあり、”解錠した”という事実を鍵という形にし、魔物に封印して隠す。
    そして開けられた戸数が、怨念の現状データ量を超えたとき、怨念は表に出るのだと。
    ならば鍵がここにあるのは、封印が”抜けた”状態になっているということだ。
    「だからまあ、昔から、鍵を取り返しては閉め直していたんだが、私がそんなことしている間に、怨念のヤツは、長い時間を掛けて力を取り戻しつつある」
    「だが、貴様も、同じように力を取り戻しつつあるのではないのか?」
    「それはない」
    彼女は笑う。
    「私は封印プログラムのセキュリティだ。封印が構築された段階で基礎限界能力が決定されており、私自身が破壊されるか、封印が破壊された時点で消滅する。このままだといずれそうなるだろう。私は神々が作った最強のプログラムだがアップデートは無い主無しだ。怨念はそれこそ巨人総意のもので、力の上限が無いも同然だから」
    だから、
    「いずれ封印は内側から破られ、私は力負けして砕かれ、この世界は消滅し、そして時間が動き出すことで生まれる次なる世界は滅びの怨念に支配されたものとなる」

    12:
    語り手は言う。それから幾多の戦場において、彼と彼女は言葉を交わす、と。
    「世界が怨念によって支配され掛けているならば、貴様、一体、どうしてそれを解決し、今いる人々を助けない!?」
    「はは、馬鹿め。私が出来るのは戦うことと自己保存のために動くこと、そして自己目的のために働くことだけだ。私の中にある太古の神々の記憶残滓によれば、戦場であるべき姿とは、他者をフォローすることではなく、他者を信頼して自分の動作をすることだ。違うか?」
    彼女は笑う。
    「私にとっての全ての生き物のあるべき姿は危機に対して立ち向かうものであり、それは私のフォローなど必要としない者達だ。皆がそれぞれ、独立し、しかし一つの目的に向かって動ける。そういう戦いしか私はプログラムされていない」
    「ならば僕は──」
    「貴様は合格だ。かつて会ったとき、貴様は”運良く”無事だったのではなく、自ら立ち向かって生き残った。だから鍵を預けた。貴様は戦場に生きる者だからな」
    そしてある戦闘において、彼はまた彼女に問うた。
    「一体、どうして僕から鍵を取り上げない」
    彼の問いかけに、彼女は笑みを見せる。
    「解らないか?」
    解りはする。
    彼女に疑問を送り、答えを貰いながら世界を転戦しているが、魔物の被害は拡大傾向にあった。戦いのペースは上がっているというのに、だ。
    認めたくはないが、
    「怨念が強大化し、この世界が限界に近づきつつある……」
    「はは、いい答えだな。ならば、救うにはどうしたらいい? 考えろ若者よ。怨念を封印するのでは、もはや間に合わないのだから」
    「その場合は──」
    解る。
    「怨念を、滅ぼすしかない」
    「はは、どうやって? 封印扉は無限の数だけ有り、どこにいるかだって解らないのに」
    「解るとも。──僕の持っている鍵の向こうに、届く道がある。何故ならば、この鍵は怨念が開けたものなのだから。こちらから鍵にあう扉を探して開けていけば、怨念に近い位置に辿り着く」
    しかし、彼女は封印を使命としているが故に、鍵を閉じることしかできない。
    鍵の番号から開いているドアを導き出し、ドアをくぐって奥に行くためには、
    「──僕か。僕が貴様を導くことになるのか」
    「はは、そうだよ。貴様に”扉の向こうに用がある”のを私が助けるのさ。それで私はセキュリティの仕事としてドアをくぐれる」
    彼女は笑って言った。
    「プログラムとしてはぎりぎりの許容行為だがな。しかし、もはや怨念は私などよりも遙かに強力だ。そして封印が至上の私では、自ら扉を開けていくことが出来ず、ヤツが完全化する前に強襲を行うことなど出来ない」
    「それが出来るとしたならば?」
    「第三者による突発的不祥事に対する、緊急事態対応だ。封印しているデータが解放される前に、そのデータを破壊する」
    「だから、私に扉を導かせて、ヤツに会いに行こう、と?」
    「ああ、。──それで、ヤツを消すチャンスが得られる」
    だが、どうだろうか。
    「貴様はやってくれるか? 滅び行くこの世界、古い世界と新しい世界の間に生まれてしまったこの世界を、新しい世界に繋げること。それはつまり──、時間の封印と重なっている怨念を砕き、時間をもう一度回し始めると言うことだが、この世界が消えるということだ」
    「消えるのは、世界の、どんな部分なんだい?」
    ああ、と彼女は言った。
    「この世界で、繰り返されないもの。それが受け継がれず、消えていく」
    繰り返されている全ては、本来次の世界に行くべきだったもの。
    彼らは、自分達を変化させないことによって、自己保存し、次の世界に移る自己を護っているのだという。像も、皆の生活も、この平和な大地も全てがそれだ。
    しかし、そうだとするならば、彼には言うべきことがある。
    「僕は駄目だな。僕は次の世界に行けないだろう」
    「はは、また、何をいきなり」
    「僕は、繰り返される日々から抜けてしまったんだよ」
    貴様を追って、とは、言えなかった。初めはそう思っていたが、今では解る。自分は、平和な生活に戻ることも出来たが、いろいろな思いから彼女を追うことを望んだのだと。
    なあ、と彼は彼女に言った。
    「神々は、新しく生まれる世界のことを考えていたのだろうか」
    「はは、まあ、何だ、少しはな。私もよく解らないことだが」
    「ならば、新しい世界とは、どんなものなんだろうか」
    彼は言った。
    「もし貴様の記憶に神々が残したビジョンが、僕の望むものと等しかった場合、僕は貴様を手伝おう」
    「──は。お堅い話だ。だが、ならば聞こう。お前のビジョンとは?」
    「ああ」
    彼は言う。自分が望むのは、先祖達が奉ってきた像、あれが人々として生活する世界であり、
    「人々は毎日の日々を繰り返し、しかし魔物達が出ないことに気づきもせず、その平和をこう言うのだ。”退屈な毎日だ”と。──貴様のビジョンはどうだ?」
    「──はは、お前、そのビジョンには付け加えておくことが一つあるぞ。人々は、神がいないことにも気づきもせず、その平和をこう言うのだ。”静かな毎日だ”と」
    彼女が差し出した手を、彼は握る。

    13:
    語り手は言う。そして最後の決戦の日が来た、と。
    「世界の崩壊は、とめどないところにまで来てしまった」
    ある早朝、朝日の昇らぬ時間に、彼女と彼は世界で最も高い山の頂に立った。
    麓には、世界中から避難してきた者達がいるが、誰も二人がこんなところにいるとは思っていない。日常から外れた場所に対して何も思わないのが、人々の習性だからだ。
    「はは、変なところで格好つくものだな。まさかお前の指輪の飛翔限界距離が、ここからでなければ天上に届かぬ程度だったとは」
    「届けばいいんだ。届けば」
    ははは、と気遣いなく笑う彼女を無視して、彼は見えぬ麓に視線を送る。
    自分の会ってきた者達がそこにいるだろうかと。
    そんな思いを抱く彼は、背後から彼女の声を聞いた。
    「お前が持っている宝具は、誰が残したものなんだろうな。私と同じく、何らかの目的をもってこの世界に残されたものだと思うが」
    「神々が、きまぐれを起こしたんじゃないか? 貴様を手伝う者が出ても大丈夫なようにと」
    「はは、どうだろうな? 何しろ貴様がこれから私の指図でする封印開放事業は、怨念の味方につくとも言えるものだ。──ひょっとして、怨念が封印される前に手を尽くし、それら宝具を──」
    そこまで言って言いよどんだ彼女に、彼は告げる。
    「はっきり最後まで言え」
    「はは、──無いなそりゃ、と思ったのさ。怨念の手筈ではない、とな」
    「何故そう言える」
    「貴様が持つ宝具の内、三つ目の金貨の意味を教えてやろう」
    彼は、振り向かぬまま、彼女の声を聞いた。
    「それは、神々の世界が滅びる間際に作られた”継続のコイン”だ。意識して世界に”いれる”ことで、次の世界へと無条件で自分の魂を送ることが出来る。つまりお前は次の世界に行くために必要な”繰り返しの生活”を捨ててしまったが、そのコインがあれば、お前の魂はこの戦いの後に次の世界へ行くことが出来るんだよ。──お前が望んだビジョンの世界に」
    「────」
    「だからいいか? お前は、戦いが終わって、もし私が生きていたら、私を砕け」
    「何故?」
    「そうしなければ、時間の封印は完全に消滅しないからだ。滅びの怨念を倒しても、私がいる限り時間の封印は持続する。世界は次の世界へと行けないんだ。だけど、お前が私を砕けば、時間の封印は消滅し、私を含めた神々も巨人も、ようやく古い時間と共に全て終わりだ。ようやく、世界は時間と共に次に行く」
    彼が振り向くと、彼女は背を向けていた。
    はは、という笑い声が聞こえる。
    「笑える話だ。滅んだ神々の尻ぬぐいは、滅ぶことでなされるんだから。だが、次の世界が平和で退屈で静かなら、そんな新しい、いい世界のために私は笑ってやる。新しい世界を生むために生じた、この世界の滅びに繋がるありとあらゆることが、哀しいことではなかったと、私は笑って次の世界を作ってやる」
    ちらりと彼女が振り向いた。
    見えた横顔は、眉を立てた笑みだ。
    「──ははっ。お前も笑え。いや、今でなくてもいいや。私を砕くときでいいから笑え。そしてもし、私のこの決断が数多くの魂を次の世界に送ることになるならば、次なる世界では私を次の名前で呼べ」
    「名前……?」
    「──Valkyrjur。私のモデルとなった、神代における魂の導き手だ」
    行こう、と彼女は言った。
    「今日だけは、力は天上に昇って行くぞ」

    『Legend of Valkyrie』
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    川 上 ですよ

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